『東京日記』

 あれから、5年が過ぎた。役者を夢見て上京。
月日がたつのは早いもので18才の時に、この道に進もうと思い、
ここにたどり着くまで5年間。回り道をしたかも知れない。気付かない
うちに近道を通ったときもあっただろう。そして、今、俺は、ここにいる。気付けば
23才。
いくつか事務所に入ったり、劇団もやったりもした。
いろんな人と出会い、いくつかの別れも繰り返した。
嬉しいことも、悲しいことも、むかつくことも、喧嘩することも
それなりにあった。
長年やってる人に比べれば、俺なんてまだまだ
なんだろうが、俺なりに、この5年間はいろいろあったと思っている。

うちの部屋の壁には、今までの出演作品のチラシやポスターが
貼ってあり、コルクボードには、その時々の写真が貼り付けてある。
過去にとらわれてるとか、前向きに生きろよ!なんて思う人も
いるだろうけど、壁のチラシは、白黒コピーものより、
カラー印刷のものが増えてき、写真も、少人数から、多人数へ。
ほんの少しずつかもしれないが、前に向かって進んでるんだなと、
これをみると実感する。写真の俺は、幼かったころに比べて、少しは歳をとってい
る。

18.19.20.21.22.23.....。
きっと、これからも、少しずつ、この道を進んで行く。
次に壁に貼られるポスターは、どんな感じなのだろう?
コルクボードに増える写真には、誰が写ってるんだろう?
もしかしたら、大きな一歩が待ってるかも知れない。
そんなものは、ないかも知れない。
嫌なことも、辛いことも、いっぱいあるんだろうな。
落ち込むときもあるだろうな。眠れない夜も来るだろう。
でも、楽しいこともきっとある。そういう時に、思う。
あ〜、辛くても楽しいことって世の中にあるもんなんだって。
そもそも、人生ってそういうもんじゃないかって。

当たり前のことだけど、この先のことなんて誰にも分からない。
見えない壁が目の前に現れて、恐怖や、不安で足が前へと
動かない。そんな時も、来るだろう。
そんな時どうするか?
前へ動かないなら、後ろに思いっきり引いて、覚悟が決まったら、
思い切り前へ蹴り出す。その壁に思い切り蹴りを喰らわせる。
壁を蹴破る。

どんな人生でも、そうだけど、そういう壁ってあるもんなんだろうな。
しかも、一枚だけじゃない。それを超えても、また次が・・・なんてこともある。し
かも、次から次へと現れるその壁は、年々、厚く大きくなって
いってるような気がする。1回じゃ蹴破れないこともあるし、2回3回と
連続キックで自分の足を痛めることもあるくらいだ。だけど、俺の
キック力も少しずつは強くなってきてるらしい。

さ〜て、キック力が勝つか?壁が勝つか?
この戦いは、まだまだ、終わりを知りません。
そのおなおや


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