|
■31日(昼)小千谷市総合体育館
馬鹿でかい体育館である。敷地に入ると、自衛隊、報道、救急車などがわんさといる。目立ったのは「すきや」による牛丼の無料炊き出し、焼き芋、自衛隊の風呂。あと、郵便局の衛星中継ATMカー(右)。横浜の水道局もいた。
右下写真の入口をくぐり、ロビーフロアに入る。すぐに目に飛び込むのは、この体育館にいる人たちの名簿だ。レポート用紙の一番上に町名を書き、下には名前と住所が並ぶ。誰かが避難者を訪ねてきた時のためだ。
僕らの思いは「片貝に何か持っていけないか」であった。片貝はここ小千谷の管轄だ。しかしこの時は正攻法が思いつかなかった。僕らも混乱していたのかもしれない。
近藤が被災者であることには変わりがないので、彼が受付に聞く。
「いろいろ持って帰りたいんですけど、どうすればいいですか」
「その辺のもの、なんでも持っていってもらっていいですよ」
と、ロビーにずらーっと並ぶ段ボールを指す。
きちんと一列に真横へ並ぶ段ボール。その裏には何があるのかな?と思ってのぞき込むと、なんとそこには避難者たちが毛布を敷いて寝ていた。体育館の中だけでなく、ロビーにも人が溢れていたのだ。
ロビーから体育館の逆へと足を進める。たくさん部屋があり、そこにも物資がありそうだ。のぞき込む。……と、
そこにも人、人、人。小千谷体育館すべてが被災者で溢れかえっていた。
ロビーの段ボールに戻って、何があるのか物色する。しかし残っている物は、どこの避難所にも溢れているものばかりだった。
近藤が片貝小学校の電話番号を調べて、教頭先生に直接聞く。すると、
「今朝、バイクのボランティアが来て、何が欲しいか聞いて帰った。でもまだ何も届かないでいる」という。
「では、ここから何か持って行きますよ。何が欲しいですか」
答えは、牛乳、お茶、白米、おかずとなる缶詰、風邪薬、うがい薬だった。
中学生くらいのボランティアの少年に尋ねる。
「牛乳ないですか?」
「牛乳はないんですよ……」
「白いお米は?」
「ないんですよ」
「そのおにぎりは?」
たくさんのおにぎりが並んでいる。
「これは……ここの体育館の方が食べる分なんです。これでも全然足りないんです。みなさん、パンばかりで辛いですから」
食事がパンだと分かると、もう取りに来ない人も多いと聞いた。神戸と同じである。腐りやすいものはあまり届かない。
「アルファ米ならありますよ」
アルファ米は非常食で、餅米みたいなもの。基本的にはチマキのような調理を施すようできている。小さな段ボール一箱に5食分。調理セットも入っている。お茶はペットボトルのウーロン茶があったのでそれを2箱もらう。水はありあまってるので、紅茶パックや茶葉などかさばらない物があればいいのに、と悔やまれる。
それらを車に積む。あとはボランティアセンターにあるものばかり。なのでそっちへ戻り、ニーズ受付に行く。正攻法で行くことにする。
「僕ら片貝とか回ってきて、さっき電話でニーズを聞いたんですが」
「片貝はバイク隊がニーズを聞いてきてるはずですが」
「それが届いてないそうなんです。それに、小学校の隣のスポーツセンターは電話もなく、おそらくバイクも行ってないと思います」
「あ、あそこね……」
避難所があることは知っているようだが、情報は上がってきてないようだった。
「僕ら、片貝小学校へ行って、スポーツセンターも行って来ますよ」
ニーズ受付を済ませ、倉庫へ。ただし、その前に本当にニーズが届いてないか確認する。すると、
「風邪薬と缶詰はさっき発送してますね」とのこと。残りの届いてない物を僕らが届けようではないか。
イヌイや高橋がいる倉庫へ行って、いろいろゲット。彼らの思いも届けてこよう。倉庫には折しも、兵庫県伊丹市から歯医者の応援が来ていた。
「1.17は忘れない」
いいキャッチコピーだ。
|